奈良時代には、全国で唯一奈良時代以前に建立された寺院建物が残っていることはよく知られています。奈良時代、平城京では仏教文化が花開き、数多くの寺院が建立され、壮大で華麗な堂塔、伽藍が造営されました。
  創建当時の建造物や伽藍の姿は、現代に残された建造物の地下の発掘調査や、奈良県文化財保存事務所がおこなっている現存する建造物の解体修理にともなう調査研究によって明らかにされてきました。
  本展覧会では、平城京の大寺院を中心に考古学と建築史学の両面から奈良時代の仏教建築の世界を紹介します。また、出土遺物や伝世資料などから寺院を造営した造寺司に属し、建造物の建立、伽藍の造営に携わった木工や鋳工、瓦工など奈良時代のさまざまな工人「匠」の姿に迫ります。

会  期:2010年10月2日(土)11月21日(日)

休 館 日:毎週月曜日(ただし、月曜日が祝日の場合は開館し、翌日が休館)

入 館 料:大人 800円(500円)、高校・大学生450円(350円)、
       小・中学生 300円(250円)、  *()は20名以上の団体料金

入館料について
  4月1日より、奈良県内の小学校・中学校・高等学校及びこれに準ずる学校の児童及び生徒で、教職員の引率のもと学校教育の一環として観覧しようとする場合は入館料が無料になりました。準ずる諸学校とは、特別支援学校、高等技術専門学校及び国立高等専門学校等です。
  詳細は博物館までお問い合わせください。

主  催: 奈良県立橿原考古学研究所附属博物館、文化庁

後  援:元興寺、興福寺、西大寺、大安寺、唐招提寺、東大寺、薬師寺 (以上、五十音順)
      NHK奈良放送局、近畿日本鉄道株式会社、(財)竹中大工道具館、(社)平城遷都1300年記念事業協会、
      読売新聞大阪本社 (以上、五十音順)

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関連行事


大阪講演会「興福寺の伽藍と匠」
 日時:平成22年10月3日(日) 午後1時~午後4時(正午開場)
 場所:エル・おおさか エルシアター  (大阪市中央区北浜東3-14)
 定員:750名 先着順で、申込は不要。入場料・資料代無料。 満席になり次第締切。

 「興福寺中金堂の復元」   鈴木嘉吉氏 (元奈良文化財研究所所長)
 「宗教空間の造営-真実と方便を求めて-」   多川俊映師(興福寺貫首)
  コーディネーター 菅谷文則 (当研究所所長)
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研究講座
 橿原考古学研究所1階講堂  午後1時~午後4時(正午開場) 定員300名、聴講無料、申込は不要。

 10月17日(日)「正倉院文書からみた造寺司」  栄原永遠男氏 (大阪市立大学)
           「考古資料からみた奈良時代の匠」  山田隆文 (当博物館)

 10月31日(日) 「唐招提寺金堂の彩色調査-記録保存と復元的考察-」  大山明彦氏 (奈良教育大学)
           「大安寺東西両塔跡の調査」  松浦五輪美氏 (奈良市教育委員会)

 11月7日(日) 「建造物の保存修理と奈良県文化財保存事務所」  今西良男氏 (奈良県文化財保存事務所)
          「唐招提寺金堂の解体修理」  田中 泉氏 (奈良県文化財保存事務所)
          「唐招提寺金堂の発掘調査」  米川裕治 (当研究所)
         
 11月14日(日) 「古代の建築技術と道具」  渡邉 晶氏 (竹中大工道具館)
          「考古遺物からみた東大寺鋳造工房の風景」  丹羽崇史氏 (奈良文化財研究所)

展示解説
 10月17日(日)、10月31日(日)、11月14日(日) *研究講座の日と同じ
 各日午前10時30分~  

中庭コンサート  「古今東西 音楽の旅-インド民族楽器シタール、タブラとシンセイザーの響宴-」
 日時:10月10日(日)午前11時・午後2時(各1時間程度)
 場所:当博物館中庭
 料金:無料。但し、別途入館料が必要。
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遺跡見学会
 日時:10月30日(土)
 現存する奈良時代の建造物を中心にめぐり、専門的な解説をおこないます。
    詳しい内容については後日発表いたします。

体験イベント
「親子で彫金体験」

 日時:11月6日(土) 午前10時~午後4時
 場所:当博物館中庭および回廊
     参加無料。
 申込方法は こちら(PDFファイル)


展示構成

Ⅰ.平城京の大寺院

 奈良時代の大寺院のなかでも官寺の建立にあたっては造寺司という役所が組織され、そこに所属するさまざまな工人を率いて伽藍堂塔を造営しました。ここではまず、本展覧会で取り上げる七つの寺院の概略を紹介し、つぎにそれら寺院の建立にあたった造寺司に関連する『正倉院文書』などの史料をパネル展示し、どのような組織であったのかを紹介します。
 
Ⅱ.奈良時代の匠たち

  実際に寺院の造営にあたっていた工人にはさまざまな種類がありました。ここでは、それらの工人の実態について、「資材をはこぶ」、「土をつむ、石をすえる」、「建物をたてる」、「建物をかざる」、「堂内をかざる」の寺院建立の4段階に分類し、出土遺物や伝世資料を用いて紹介します。

大斗               (唐招提寺金堂)


垂木先金具      (興福寺中金堂院出土)


風鐸             (大安寺西塔跡出土)
 

Ⅲ.絵画にみる奈良時代の伽藍

 平城京の大寺院で、奈良時代の伽藍を完全にとどめているものはありません。その多くは天災や兵火などのため、中世には既に失われていました。しかしながら、中世から近世にかけて人々は往時の伽藍の姿を多数描いていました。ここでは、想像も含めて描かれた奈良時代の大寺院の壮大な伽藍の姿を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春日大社曼荼羅図        (興福寺蔵)

 

*10月2日(土)~10月15日(金)までの

               限定公開となります。