4 祭祀活動とハレの空間
立石と配石の祭祀

宮の平遺跡からはハレの舞台となった立石や配石などの祭祀遺構が見つかりました。立石のうち3基は立てたままの状態で出土し、当時執り行われた儀式を髣髴させるものです。また配石は土器を埋設したり、土坑をともなっていたりして墓と考えられるものも含まれます。これらの配石は世代を超えて作られ続けたようで、長期間に形成された配石は全体として弧を描くように形成されていました。

赤い色の神秘

原始・古代の人々にとって赤い色は特別の色だったようです。宮の平遺跡から出土した土器には赤く塗られたものがありました。注目できるのは竪穴住居跡2から見つかった石皿に赤い色が付着していたことです。蛍光X線分析の結果、原料は旧石器時代から用いられてきたベンガラ((酸化第二鉄)ではなく、良質の顔料である辰砂であることがわかり、わが国では最も古い段階の水銀朱であることが明らかになりました。遺跡の近くに未発見の水銀鉱山が眠っているのでしょうか。


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1号立石
竪穴住居2出土の
赤色顔料が付着した石皿
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