藤ノ木古墳の金銅製馬具は、6世紀の東アジアの金工品のなかでも屈指の優品です。これらの製作地については、朝鮮半島の新羅・百済または列島内の工房など、解釈は分かれていますが、その製作にあたって複数の地域のデザイナーや工人が参画したことは間違いないでしょう。
今回は、このような馬具の製作技術を探るために、龍文飾り金具の復元製作に取り組みました。8枚の出土品は、文様表現で大きく2種に分けられますが、いずれも鞍金具の文様に共通する表現法であり、鞍と同じセットの馬具として作られたと考えられます。なお、この金具の裏面の鋲のようすから、他の馬具のように革帯に装着したのではなく、厚い布に付けて使用されたことがわかります。