春季特別展

2009.4.2
「吉野川紀行 -吉野・宇智をめぐる交流と信仰-
会期 2009年4月18日(土)~6月14日(日)

現在の吉野郡と五條市(古代の吉野郡と宇智郡)は吉野川流域という点で、奈良盆地とは異なる環境にあります。その為、古くから盆地部とは異なる文化が営まれました。例えば吉野郡では、吉野川流域の縄文時代を代表する宮滝遺跡において独特の土器様式がみられます。また、飛鳥・奈良時代には離宮とされる吉野宮が営まれ、持統天皇などは飛鳥の地から度々訪れています。さらに平安時代には、末法思想によって藤原道長ら平安京に住む貴族が金峯山(大峯山)に経塚を営みます。これらは都人たちが吉野を神聖な場所とみなし、信仰していたことの表れと考えられます。一方宇智郡は、古墳時代より吉野川を介して他地域や朝鮮半島、大陸との交流の大和における玄関口となっており、出土遺物にはその影響がうかがえます。そして独特な横穴式石室の形態も特徴です。また、古墳時代以降には須恵器や瓦の生産地となっており、瓦は飛鳥の諸寺院に供給されました。
 以上のように今回の特別展は、吉野・宇智の地域にみられる様々な交流と信仰にスポットを当て、考古学の視点から古代に遡ってたどることにします。

 

休 館 日:毎週月曜日
入 館 料:大人 800円(500円)、高校・大学生 450円(350円)、
     小・中学生 300円(250円)、()は20名以上の団体料金
主  催:奈良県立橿原考古学研究所附属博物館
     五條市・五條市教育委員会・吉野町・吉野町教育委員会
後  援:大淀町・大淀町教育委員会・南和広域連合

研究講座:第1回 4月26日(日)
      「吉野川流域の縄文・弥生文化」 橋本裕行(当研究所)
      「吉野川流域の古墳と集落」   前坂尚志(市立五條文化博物館)
     第2回 5月17日(日)
      「宮瀧遺跡と吉野宮」      前園実知雄氏(奈良芸術短期大学教授)
      「吉野・宇智における古代の信仰」大西貴夫(当博物館) 
     第3回 6月7日(日)
      「金峯山経塚について」     杉山 洋氏(奈良文化財研究所) 
      「吉野川の地形と民俗」     池田 淳(吉野町教育委員会)
       橿原考古学研究所1階講堂にて、いずれも午後1時より、聴講無料

展示解説:研究講座の日の10:30~

ミニシンポジウムと宮滝遺跡散策:
5月30日(土)
・午前10時~午後12時40分 宮滝遺跡と吉野歴史資料館見学
 奈良交通バス停・上市駅9時54分発または吉野町役場前9時58分発に乗車下さい。
 バス料金と入館料、事前の申し込みが必要です(5月22日〆切)。昼食持参。
・午後1時30分~3時30分 講演会とミニシンポジウム
テーマ 「吉野川の歴史と暮らし」(仮)
パネラー
  和田 萃氏(京都教育大学名誉教授)
 浦西 勉氏(奈良県教育委員会) 
 松田真一  (当博物館館長)
※吉野町中央公民館にて(近鉄大和上市駅より東へ徒歩15分)、聴講無料。申し込みは不要です。


現地見学会:
5月10日(日) 「吉野川流域の遺跡を歩く」(国際博物館の日記念事業)
・10:00 近鉄下市口駅集合。16:30  近鉄大阿太駅解散予定。
岡峯古墳、南阿田大塚山古墳、原遺跡、山代忌寸真作墓誌出土推定地などを見学します。参加無料、小雨決行、昼食持参。約12kmの行程です。

特別展と史跡見学バスツアー6月6日(土) 
・午前10時~午後5時(予定) 特別展、吉野歴史資料館、世尊寺、栄山寺などを見学。定員先着40名、申し込みと入館料などが必要です(6月3日〆切)。昼食持参。
※①宮滝遺跡散策、②史跡見学バスツアーの申し込みは、①はハガキ、②は往復ハガキに参加者名(複数の場合は代表者と参加人数)・住所・電話番号を明記の上、吉野町教育委員会事務局社会教育課 ①係または②係(〒639-3111吉野郡吉野町上市77-1)まで。
※宮滝遺跡散策、史跡見学バスツアー以外は、申し込み不要です。

主な展示品

縄文土器(中遺跡)
弥生土器棺(宮滝遺跡)

 

 

環頭大刀柄頭(越部古墳)

金銅藤原道長経筒(国宝・金峯神社蔵)
金銅釈迦如来坐像(重文・桜本坊蔵)




銅板鋳出蔵王権現像(重文・大峯山寺蔵)