三郷町勢野峰ノ阪遺跡下層石器群は炭素同位体(C14)による年代測定法によって、2万5千年前の石器であることがわかりました。礫を分割して石核の素材とする技術は、この時期の列島に広く発見されています。近畿ではさらに発展して、瀬戸内技法とよばれる翼の形をした剥片を量産する技術へつながっていきました。
2.サヌカイトの山
二上山の火山活動でできた火山岩に、サヌカイトとよばれる安山岩の一種があります。黒いガラスのようなこの石は、石器作りに最適でした。旧石器人は、サヌカイトの岩盤にむけて穴を掘ったり、礫となって流出したサヌカイトの堆積層を掘削して原石を入手していました。二上山北麓には旧石器人の、石器製作遺跡が集中しています。